事務所がお歳暮だらけでぐっちゃぐちゃ。
営業マンの嫌がらせ?
こんにちは!「クロノス」です。
上二つはランキングです。
できれば、下のランキングで20位以内に入りたい。
宜しくお願いします。
パチンコ店には色々なお客様が来店します。
老若男女、夫婦からカップル、社長さんらしき人や営業をサボって来ている人など。
実に様々な人たちが来店します。
以前、三沢店に居たと皆さんにはお話しましたが、
いまでも思い出に残る常連さんが居るのはやっぱり三沢店です。
三沢店に毎日のように来てくれる老夫婦。
お爺さんは凄く元気な方で、私たちと顔を合わすと決まって
大きな声で「おはよう!!」と。
思わず私たちも元気になってしまいます。
お婆さんは少しおとなし目な方で、いつもお爺さんの近くで打っています。
小さくて、声が高くて、とても可愛いお婆さんです。
お婆さんの打つ台は決まって7番台。
昔からある古い台。
セル盤は削れ盤面にベニヤが見えるほどに古い。
釘も真っ黒。故障もよくする。
最近の台に比べれば地味で玉の出方も緩やかで、
古くからのお客様には大人気の台です。
お婆さんは席に着くと、何やらバックから取り出し
おもむろにパチンコ台の上皿に置きます。
そして、椅子の上に正座をすると、置物に一度拝んで打ちだすのです。
不思議に思った従業員が、さり気なくお婆さんの台に置いてある置物を
見に行ったのですが、これがびっくり。
「金色の小さな招き猫」
大きさが2cmほどの招き猫。
従業員たちは面白がって順番にお婆さんの所まで見に行きます。
そんなことをしたら普通なら、気分を悪くし、もう来なくなるかもしれません。
しかしお婆さんはそんな従業員に気づいても、ニッコリと笑って
何事もなかったかのように打ちだすのです。
それからも、毎日、毎日この老夫婦はお店に来てくれます。
そして決まってお婆さんは7番台に座る。
やはり、パチンコなので出る日もあれば出ない日もあります。
時には、お爺さんがお婆さんの出玉を貰って打つこともあります。
また、お婆さんがお爺さんの出玉で打つこともあります。
負けていても、楽しそうにパチンコを打つ二人。
本当にパチンコが好きなんだと思いました。
本当に仲の良い二人で、
歳をとってもいつも二人でお出かけをし、
共通の趣味を二人で楽しむ。
誰もが夢見る夫婦ではないでしょうか。
さて、当時のマイグループではポイントサービスを行っていました。
来店して、カードリーダーに会員カードを通したり、
ダイレクトメールを持ってきたりすると、それに応じてポイントが貯まり、
ある一定のポイントが貯まると、お得なサービスを受けられます。
この老夫婦も二人でポイントを貯めており、
いつも仲良くダイレクトメールを持って来ます。
しかし、二人ともポイントは貯まる一方で、
ポイントを使う気配がありません。
一体何のためにポイントを貯めているのだろう。
不思議に思った私はお爺さんに、
私「ポイントが結構貯まっていますけど、使わないんですか?」
と質問をしました。するとお爺さんは、
お爺さん「う〜ん・・使うって言っても、どれが良いのか分からんからな・・」
私「それでしたら・・・」
お爺さん「いいよ。いいよ。使う気も無いし」
私「え!?使わないんですか?」
お爺さん「お婆さんと貯めておくのが楽しいんだよ」
続けてお爺さんは、
お爺さん「お婆さんとの思い出にとっておくことにしてるから」
と。
マイ店がこの老夫婦の思い出として残ってくれることが嬉しかった。
パチンコ店という限りなくグレーに近い商売をやっていて、
初めて誇りに思うことができた。
それからというもの、私にとってこの老夫婦は特別なお客様になった。
本当はパチンコ店としてあるまじき行為であるが、
店長に7番台をもう少し出してはどうかと提案したこともあった。
もちろんそんな事は聞き入れてもらえるはずが無く、
やっぱり、トータルで見れば「負け」である。
それでも帰り際に「ありがとう」と言って帰っていく。
私はそんな老夫婦が大好きだった。
そんなある日、お爺さんが先に店に到着し、ダイレクトメールの
ポイントを入れにカウンターに来た。
差し出されたのは二枚のダイレクトメール。
一枚はお婆さん宛のハガキ。
ダイレクトメールのポイントは、本人が直接来ないと
入れてはいけないというルールがあるので、丁重にお断りをした。
私「申し訳ありませんが、ご本人様以外ではポイントを入れることができません」
お爺さん「後から来るんだけど、ダメかね?」
私「申し訳ありません。来店されましたらまた来てください」
お爺さん「そうか・・・・」
と言うと、お爺さんは少し寂しい顔をしてカウンターから離れていき、
そして、その日は何も打たずに店を後にした。
数日後、三沢店に新台が入り、開店初日にまたお爺さんは来店した。
カウンターまで来るとまた二枚のハガキを差し出し、
お爺さん「ダメかね?」
と。
全く、この前注意したばかりなのに。
半ばあきれて私はお断りをした。
私「あのね、お爺さん。この前も言ったけど、本人じゃなきゃ
入れることができないんです」
お爺さん「ああ・・そうじゃな」
私「お婆さんが来たらまた来てくださいね」
お爺さん「それが・・婆さんはもう来れないんだよ」
私「え!?」
お爺さん「つい先日死んでしまってね・・・」
原因は心不全だった・・・
お爺さんはうつむきながら搾り出すように話した。
私はかける言葉が見つからず、ただ唖然としているだけだった。
そんな私を見てお爺さんは、
お爺さん「じゃあ、わしのだけお願いするよ」
と言った。
その言葉に私はルール違反だと分かっていながら、
私「お婆さんのもいいですよ」
と言ってしまった。
そう言うとお爺さんは嬉しそうにお婆さんのカードを
カードリーダーに差し込み、
お爺さん「それと・・お願いがあるんだけど」
私「何でしょう?」
お爺さん「婆さんにはこれからもハガキ送ってくれんか?」
私「かまいませんが・・・」
お爺さん「ハガキが来なくなったら婆さんも寂しがるから・・」
私はその言葉を聞いて、目頭が熱くなった。
お婆さんが亡くなって悲しいのもあるけれど、
そこまでこの店を好きでいてくれた事が嬉しかった。
後日、店長と話し合い、ダイレクトメールはこのまま
送り続ける事になり、もちろんポイントも加算することに。
そして・・・数カ月後・・・
見做し機撤去。
もちろんお婆さんが大好きだった7番台も撤去された。
胸を締め付ける思いだったが、所轄の命令だからしょうがない。
見做し機が撤去されてから、お爺さんもお店に来なくなった。
でも、三沢店ではまだ二人分のダイレクトメールは送り続けいている。
撤去された見做し機は、全て廃棄処分となったが、
当時の三沢店従業員達の願いから、
唯一、
お婆さんの7番台だけは、
今も三沢店の倉庫に保管されている・・・・
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